2017年10月10日(火) 10:10

今日は朗読劇とドラマ・リーディングの違いについて、かねてから生徒さんの質問も多かったので、私なりの見解をこちらに書いておきたいと思います。

私が初めてリーディングというスタイルに出会ったのは今からちょうど20年ほど前、1997年の頃です。

その時はシェイクスピア作品をrehearsed reading リハースト・リーディングで行うという英国式のスタイルでした。

それは、衣裳は黒衣が基本、あとは役の象徴になる装飾だけを施し、例えばそれはティアラをつけたり、ロザリオをつけたり・・・。

台詞は全て入っていて、美しく立ちながら、台本は確認として持っているだけ(私はほぼ持っているだけでした)台本を離せば演劇に近いスタイルです・・・。

リーディングの醍醐味は

ドラマの中心、核となる骨格のようなものが、言葉だけでしっかりと作品世界が立ち上がるといったところでしょうか・・・。

けして、演じる側が台詞を覚えなくていいからとか、演劇よりも簡略化できるからといったことではないのです。

むしろ、演じる側の存在というよりは、言葉を中心として表現していくことが要求されます。

日本ではまだリーディングに関しての定義が曖昧なのですが、

私がここ10年の間に演らせていただいた朗読劇やリーディングだけでも様々な形があり、またいろんな可能性を秘めている表現のスタイルだなぁと実感してます。

朗読劇は

譜面台を立てて、そこに台本をおき、言葉だけでお話をすすめていくスタイルや

衣裳は黒衣、黒い表紙の台本に目を落とし、ずっと台本を目で追いながら、

台本との自身の距離感で台詞を言葉にしていきながらも、

人物の関係性を明確にみせるために、動いて台詞を話していくスタイルもあります。

相手役との関係性を、言葉だけで世界を繰り広げていく感じでしょうか・・・。

ドラマ・リーディングは朗読劇やリハースト・リーディングの要素が強い時もありますが、

役の衣裳を着て台本に目を落としながらもしくは、確認しながらも、どこか相手役との距離感を感じ、動きながら、台本ですら小道具になるときもあり、またその時は言葉や活字から自由になる瞬間もあります・・・。

これといった定義が曖昧なことも日本人の良さでしょうし、

その良さがリーディングの可能性を拡げるんでしょうね。

内田里美