2015年6月16日

私の師匠は俳優であり、演出家でしたので、先生と呼ぶと怒るひとでした・・・(笑)

なので、いつも私は「高城さん!」と呼び、

時に私は師匠のことを高城さん!ではなく、大公!とかキャップ!(伝説の生ドラマの中での呼び名)と呼んで、仲間、といっても先輩女優さんや声優さんの前でふざけていることもしばしば・・・。

師匠はいつも「お前は、おれをばかにしてるのかっ!!」と言いながらも、そんな私をおもしろがって受け入れてくださってました。

今思うと、当時の私は随分生意気で、昭和の名優、俳優の大大大先輩にむかって、なんて無礼者なんだと思います・・・(笑)

日頃先生と呼ぶことはなかったのですが、亡くなられてから、ひとに話す時になぜか、先生が・・・という時がなんどもありました。

その時に、お前は、おれをばかにしてるのかっ!といつもの師匠の声が聞こえてきて、私はあんなにふざけていたけど、やはり心から尊敬する私の先生だったんだとはじめて気がつくのです。

師匠のもとで、勉強させていただきながら、舞台やドラマで、経験を積み、6、7年経った頃、私自身がお芝居を教える仕事をはじめることになりました。

当初は20代の俳優、女優をめざす生徒さんのクラスが多かったのですが、そのうち、5歳児~小学生の子役志望、中学生、高校生の生徒さん、そして、50代、60代、70代のシニアタレントを目指す方のクラスを持つことになり、スタジオでの発表会の演出も演らせていただくまでになりました。

時にはお芝居だけでなく、日本でデビューをめざすアイドルグループや10代のピアノコンクール出場の女の子たちの心のメンテナンスにまでかかわり、お芝居や国籍までも超えてのオーダーのなかで、師匠の教えを元に、今の私のレッスンスタイルができあがったように思います。

いろんな出会いの中で、目の前にいる生徒さんの心がふわっと感じられる瞬間や生徒さん自身の言葉が聴けた時、とてもうれしく思います。

私は様々な出会いの中で、先生と呼ばれるようになって、はじめて先生になれた、生徒さん皆さんに私は先生にしてもらったなぁと最近つくづく感じます。

そして、30代半ばまで、師匠がいて下さったことに深く感謝しています。

内田里美